「消防士から教員、そしてライフセーバーへ——命を守るすべてがつながる瞬間」
私はかつて岡山県で消防士として働いていました。
火災現場での救助、救急車での出動——命の最前線に立つ日々。
「人の命を守ること」が私の使命であり、生きがいでした。
それでも、心の片隅には「教員になりたい」という夢がずっと灯っていました。
子どもたちに、“未来を切り拓く力”を伝えたい。
そんな想いを胸に、消防を退職し、石川県の専門学校で救急救命士を育てる教員として新たな一歩を踏み出したのです。
広報活動の一環で、小学生へのプール指導を担当したとき、「水辺の安全を本気で教えるには、何が必要だろう?」と考えました。
そこで出会ったのが、ライフセービング。
「これだ!」と直感するほど、私の思いにぴたりと重なりました。

しかし、資格取得への道は決して甘くありません。
厳しいトレーニングに心が折れそうになることもありました。
それでも、若狭和田ライフセービングクラブ代表の細田直彦さんをはじめ、インストラクターの皆さんが力強く支えてくれました。
細田さんは「海に立つ怖さ」だけではなく、「海を好きになること」「海を楽しむこと」の大切さを何度も伝えてくださったんです。
海は時に牙をむく怖い存在——でもそれ以上に、美しい景色で心を解き放ってくれる場所。
だからこそ、正しく恐れ、そして心から好きになることが本当の“命を守る力”につながる、と。

受験先の海は、空と海が溶け合うような絶景でした。
「ここで守る命があるんだ」と、胸の奥が震えたのを今もはっきり覚えています。
その後、石川を離れ、京都の明治国際医療大学で勤務することになりました。
驚いたのは、担当することになった授業が「ライフセービング実習」で、その実習場所が、私が資格取得でお世話になったクラブと同じ海水浴場だったこと。
“縁”という言葉では片付けられない、まるで運命のようなつながりを感じました。
そして実習で出会ったのが、佐藤洋二郎先生と田村浩志先生。

ライフセービング実習の立ち上げから、学生たちの指導に情熱を注いできたお二人です。
初めてお会いしたとき、その指導力に圧倒されました。
学生一人ひとりを見つめ、その瞬間ごとに適切な声をかけ、時には厳しく、時には優しく。
ただ技術を教えるのではなく、「命を守る」という言葉に込められた想いをしっかり伝える——
まさに私が理想とする“教員”像がそこにありました。
さらに佐藤先生・田村先生も、細田さんと同じように「海を好きになること」「楽しむこと」を大切にされています。
その気持ちを持てなければ、本当の意味で命を守ることはできない——
お二人の言葉に、私は改めて深く頷かされました。
消防士としての現場経験、教員としての学び、ライフセーバーとしての使命。
それぞれがバラバラだったはずの道が、いま一本の線となって私を導いているように感じます。
「命を守る教育」を実践するための羅針盤、それが私にとってのライフセービングです。

これからも、ライフセービングを通して学生たちに「命を守る力」と「海を楽しむ心」を伝え続けたい。
そして、子どもたちには「君たちにも誰かを守る力があるんだ」と声を届ける教員でありたい——
そう強く願っています。
明治国際医療大学 保健医療学部救急救命学科 教員
明治国際医療大学ライフセービング部 監督
若狭和田ライフセービングクラブ所属