実はクラゲではない?!
ヒドロ虫の仲間に属し、英語で Jellyfish (ジェリーフィッシュ)と呼ばれるミズクラゲやエチゼンクラゲなどのいわゆるクラゲとは異なる。1個体に見えるのは、実は多くのヒドロ虫が集まって形成された群体です。
本州の太平洋沿岸にカツオが到来する時期に海流に乗ってきて、浮き袋の見た目が烏帽子に似ていることから三浦半島や伊豆半島でカツオノエボシと呼ばれるようになりました。
特殊な移動手段を持つ
大きさ約10cmの透き通った藍色の浮き袋をもち。中には気体(主に一酸化炭素)が詰まっていて、これで海面に浮かぶ。浮き袋は常に膨らんでいるわけではなく、必要に応じてしぼみ、一時的に沈降することもあります。また浮き袋には三角形の帆があり、風を受けて移動することができます。カツオノエボシ自身には遊泳力はほとんどありません。
美しい浮袋は危険なワナ…
浮き袋から海面下に伸びる触手は平均10m程度、長いもので約50mにも達し、触手が何らかの刺激を受けると、表面に並んでいる刺細胞から刺胞が発射されます。刺胞には刺糸というタンパク質毒素が含まれます。
人にとって非常に危険な生物です。触手に強力な毒をもち、刺されると強烈な電撃を受けたかのような激痛があります。患部は炎症を起こして腫れ上がり、痛みは長時間続きます。二度目に刺されるとアナフィラキシー・ショックというアレルギー症状が出る場合があり、カツオノエボシに刺されて、数分から15分くらいで発症するといいます。
その症状は、さまざまで、全身性じんましん、くしゃみ、咳、呼吸困難、悪心、嘔吐、脱力感、心悸亢進、不安感などが出ます。ショック死する危険性もあります。