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海やプールで溺れないクラゲにさされたら

プールで事故を起こさないために

クラゲに刺された時に一番重要なこと

すぐに海から上がりましょう!

受傷後数分経ってからアナフィラキシー症状を引き起こすことがあります。溺水に繋がる危険性があるため、受傷直後の痛みの度合いに関係なく、すぐに上陸することが大切です。アンドンクラゲやハブクラゲ、キロネックスを始めとする立方クラゲ(ハコクラゲ・箱虫綱(はこむしこう))には酢酸が有効であり、これらの刺胞に酢酸をかけると、刺糸が発射されていない刺胞に酢酸が作用し、不活性化することが分かっています。もちろん、体内にすでに入ったタンパク質毒素(タンパク質を溶かす毒)や溶血性毒や神経毒などが不活性化しません。

応急処置

世界中の海に生息するクラゲは多くの種類が存在しますが、ここであげるクラゲは、日本国内の海水浴場で被害にあうクラゲのうち代表的なものを紹介していきます。

<1> 触手を抜く(触手が視認できるほど残っている場合)

写真にはクラゲの触手は付いていません。

刺されたときにそのままクラゲの触手が残っている場合があります。そんなときは触手をそのままにしておくと、また刺される場合がありますので早急に対処しましょう。

ここで注意してほしいのは、絶対に素手で抜こうとはしないでください。素手で抜こうとすると、手まで刺されてしまう危険がありますので、手袋かピンセット、最悪ハンカチなどを当てて抜くようにしてください。海水で洗い流す際も、刺胞を刺激しないように優しく行うことが重要です。

<2> 洗い流す(触手が視認できない場合は不要

触手が絡みついて<1>では取り切れない場合
海水で刺されたところを優しく洗い流します。
真水だと刺胞が活性化しさらにヒドくなる事もありますので、海水で優しく洗い流してください。海水で洗い流す際も、刺胞を刺激しないように優しく行うことが重要です。

視認できない刺胞をできるだけ刺激したくないので、触手が視認できないときは海水で洗って刺胞を不用意に刺激しないでください。温めるか冷やすの次のステップへ

<3> 温める、冷やす

温めるか冷やすか、コレは専門家でも意見が分かれています。

温める場合

クラゲの毒の主成分はタンパク質毒素であり、タンパク質毒は40度以上の熱に弱い特徴があります。この処置で悪化するというクラゲは存在しないので痛みがすぐに軽減されます。

冷やす場合

刺された箇所は腫れて熱を持つため、冷やして血管を収縮させてあげて、痛みを和らげてあげます。冷やす場合は、冷たいペットボトルの飲み物などで冷やしてあげるといいでしょう。

蜂と同じように複数回刺されると「アナフィラキシーショック」を起こす可能性もあるため、クラゲに刺されたと感じ一番重要なことは、海から上がる事です。「アナフィラキシーショック」は刺された後、10分から15分後に起こる可能性があります。それが溺れの原因になる事がとても危険です。海から上がり、応急処置が済んだら、医療機関での受診をお勧めします。

お酢を使う場合

刺された傷口にお酢を使うという民間療法があります。
しかしアンドンクラゲなどのハブクラゲ類には刺胞が不活性化されて効果はありますが、カツオノエボシやアカクラゲの応急処置に使うと逆に刺胞を活性化する可能性もあるといわれているため、刺されたクラゲの種類がわからない場合はお酢の使用は禁忌です。刺胞毒の反応はアレルギー症状であるため個人差があるため、刺された跡を見て、何のクラゲに刺されたか判断するのは困難です。

日本で被害にあいやすい代表的なクラゲ

世界中の海に生息するクラゲは多くの種類が存在しますが、ここであげるクラゲは、日本国内の海水浴場で被害にあうクラゲのうち代表的なものを紹介していきます。

アンドンクラゲ

無色透明で目立たず、高速で泳ぐ

刺胞のメカニズム

複数回刺されるとアナフィラキシーショックを起こすことも…

刺胞毒の反応はアレルギー症状であるため個人差がある

高速で遊泳し、高度な眼を持つ

刺胞動物門箱虫綱に属し、文字通り立方体のような形状の傘を持ち、その4隅から薄桃色の触手が伸びている。触手を除き、体全体がほぼ無色透明であり水中では目立たず、クラゲとしてはかなり高速で遊泳する。しかも、高度な眼(レンズ眼)を有し、遊泳時には視覚情報を利用しています。

箱虫綱にはハブクラゲやヒクラゲ等、毒性の強い種が多い。オーストラリアにはさらに毒の強いハブクラゲの近縁種 Chironex fleckeri (キロネックスフレッケリ)が分布しており、死亡事故が多発するため血清が作成されている。クラゲ類の刺胞毒の多くはタンパク質毒素であり、複数回刺された場合にはアナフィラキシーショックを起こす可能性もあるので注意が必要です。

繁殖のために意図的に集合も

大潮の時など、ときおり、アンドンクラゲが多数群れているのを見かけることがあります。アンドンクラゲは雌雄異体であること、また先述のように高い遊泳力と視力を有することから、繁殖のために意図的に集合している可能性が示唆されています。こういったところにクラゲに気づかずに立ち入ってしまうと、非常に悲惨な事態になります。

カツオノエボシ

美しい浮袋に惹かれて触ってしまうと…

実はクラゲではない?!

ヒドロ虫の仲間に属し、英語で Jellyfish (ジェリーフィッシュ)と呼ばれるミズクラゲやエチゼンクラゲなどのいわゆるクラゲとは異なる。1個体に見えるのは、実は多くのヒドロ虫が集まって形成された群体です。

本州の太平洋沿岸にカツオが到来する時期に海流に乗ってきて、浮き袋の見た目が烏帽子に似ていることから三浦半島や伊豆半島でカツオノエボシと呼ばれるようになりました。

特殊な移動手段を持つ

大きさ約10cmの透き通った藍色の浮き袋をもち。中には気体(主に一酸化炭素)が詰まっていて、これで海面に浮かぶ。浮き袋は常に膨らんでいるわけではなく、必要に応じてしぼみ、一時的に沈降することもあります。また浮き袋には三角形の帆があり、風を受けて移動することができます。カツオノエボシ自身には遊泳力はほとんどありません。

美しい浮袋は危険なワナ…

浮き袋から海面下に伸びる触手は平均10m程度、長いもので約50mにも達し、触手が何らかの刺激を受けると、表面に並んでいる刺細胞から刺胞が発射されます。刺胞には刺糸というタンパク質毒素が含まれます。

人にとって非常に危険な生物です。触手に強力な毒をもち、刺されると強烈な電撃を受けたかのような激痛があります。患部は炎症を起こして腫れ上がり、痛みは長時間続きます。二度目に刺されるとアナフィラキシー・ショックというアレルギー症状が出る場合があり、カツオノエボシに刺されて、数分から15分くらいで発症するといいます。

その症状は、さまざまで、全身性じんましん、くしゃみ、咳、呼吸困難、悪心、嘔吐、脱力感、心悸亢進、不安感などが出ます。ショック死する危険性もあります。

アカクラゲ

赤い縞模様から、連隊旗クラゲとも

毒性は強く、かなり痛い!

別名ハクションクラゲ。刺されるとかなり痛い!

放射状の褐色の縞模様が16本走った直径9-15cmほどの傘と、各8分画から5-7本ずつ、合計で40-56本伸びる長さ2m以上の触手を持つ。触手の刺胞毒は強く、刺されるとかなり強い痛みを感じます。

このクラゲが乾燥すると毒をもった刺糸が舞い上がり、これが人の鼻に入るとくしゃみを引き起こすため、「ハクションクラゲ」という別名を持ちます。

また、その赤い縞模様から「連隊旗クラゲ」とも呼ばれます。