知ってほしいWater Safetyリップカレント(離岸流)に気をつけよう

リップカレント(離岸流)に気をつけよう

溺水事故の60%がリップカレント

海水浴場において溺水事故の60%がリップカレントによるものです。だからといって海が怖いわけではありません。正しい知識を知っていればリップカレントを回避して安全に楽しむことができます。

なぜリップカレントができる?

白波が多い状況におけるリップカレントの例

波は砕けると岸向きの流れのエネルギーに変わります。この流れにより水が波打ち際に運ばれ,水位が上がります。この水(エネルギー)を逃がすために,沿岸流(沿岸方向の流れ)が発生し,周辺より水深が深い場所等で沖に向かって流れます。これがリップカレント(離岸流)です。仮にリップカレントがなければ,波打ち際の水位がどんどん上がってしまうことになってしまいます。そんなことはありませんよね。

リップカレントの特徴は?

沖へ強く流れる。

リップカレントの両側では波が砕けています。リップカレントが発生している場所は,周囲に比べて波が砕けていないので,一見静穏で安全だと思ってしまうかもしれません。波はその大きさで状況を把握できますが,流れは視覚的に分かり難いので注意が必要です。「あの波がない静かな場所で泳いでおいで。」お子様へのこのひとことが危険なのです。
【特徴】

  • 海底の砂が巻き上げられて海水が濁り,海の色が周囲と異なります。
  • 波が砕けた後にできる泡やゴミが沖に向かって流れています。
  • 波が穏やかなときでも波紋が現れます。

どういう場所にできる?

海岸構造物に沿ったリップカレントの調査例。緑色のトレーサーが沖に向かって流れているのが確認できる。

砂浜海岸では,周辺より水深が深いトラフ(凹み地形)で主にリップカレントが発生します。また,リップカレントが発生している場所は,汀線が大きく陸側に湾曲(凹んでいる)していることが多いです。リップカレントがなかなか分かり難くても,波打ち際まで歩いていって,汀線を沿岸方向に望むと湾曲している場所が簡単に分かります。その場所ではリップカレントが発生していると考えてよいです。一方,珊瑚礁や岩の海岸では,海底地形の深み沿って固定的にリップカレント(リーフカレント)が発生しています。 また,日本の海岸では,港や海岸を守るためにさまざまな構造物が設置されています。リップカレントは構造物の背後や構造物に沿って発生することが多いので注意が必要です。
この他,リップカレントは強いオフショア(沖向きの風)や潮汐流,河口付近では河川流にも影響を受けます。また波浪や潮位、風況、地形は変化するので、1日を通じてリップカレントの強さや規模,発生位置が変化するので注意が必要です。

リップカレントに流されないためには?

海岸構造物周辺の主な流れ

まずリップカレントが発生している場所に入水しないことです。波が砕けていない状況で,汀線が大きく陸側に湾曲している場所や,構造物周辺での入水はやめましょう。一方,そのような場所以外で入水しても,沿岸流によって汀線に沿って流され,やがてリップカレントの発生場所に侵入し,沖に流される場合があります。このため,入水した位置を常に確認しておくとよいでしょう。例えば〇〇の海の家の前で入水したら,その場所から沿岸方向に流されていないか確認するのです。流されていた場合は一度岸に上がり,また元の場所から入水すれば,リップカレントを回避することができます。

リップカレントに流されてしまったら?

リップカレントからの脱出方法

リップカレントに流されると「沖に流される」という恐怖感からパニックに陥ったり,岸に戻ろうとして流れに逆らって泳ぐことにより,疲労して溺れてしまう危険性があります。リップカレントのスピードは秒速2m以上になることもあり,オリンピックメダリストでも流れに逆らって泳ぐことは難しいです。
では,どうしたいいか?まずパニックを起こさず(Don’t Panic),落ち着き(Stop),考えて(Think)から行動をしましょう(Action)。リップカレントから逃れるには,泳力のある人は浜に向かって斜め45度の角度で泳いでリップカレントから抜け出します。一方,泳力がない者や疲れている者は,浜に対して平行に泳いで,リップカレントがなくなるところまで,つまり波が砕けているところまで移動したら浜に向かって泳いで戻ります。
リップカレントによってはるか沖まで流されることはありません。流れは沖(リップヘッド)で拡散するので,助けてサインで救助要請しつつ,リップヘッドまで流された後に行動することもよいです。
なお,助けてサイン(片手を大きく振る)は海水浴場における世界共通のヘルプシグナルです。十分な浮力を確保している場合,流され始めて浮いていられる状態,近くに流されて溺れそうな人を見つけた場合など,多くの海水浴客で賑わう状況下で浜辺のライフセーバーに救助を求めるときに有効です。