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私とライフセービング

Vol.69 – 髙橋 颯 / Ryu TAKAHASHI

2025.05.16 (Fri)

私とライフセービングを繋いでくれるもの、それは人と人との繋がりです。

私たちの代はコロナ禍一年目で入学しました、その時に一際輝いて見えたのがライフセービング。響きがかっこよかった。ライフセービングに興味を持ったきっかけは、「人の役に立ちたい」「自分が大学で学んでいる知識を何かに役立てたい」といったかっこ良い理由ではなく、シンプルに「夏の海、、、楽しそう!!」ただそれだけでした。

でも実際は、

きつい、海は遠い、水は冷たい、寒い。

それでも辞めなかったのは同期や仲良くしてくれた2人の先輩がいたから。本当に感謝です。

安全課との出会い

そうして続けたライフセービングですが、安全課(ライフセービング大会のウォーターセーフティーチーム、ここではあえて愛着を持って安全課と呼ばせていただきます)との出会いをきっかけに、よりのめり込む様になりました。安全課はいわばライフセーバーのためのライフセーバー、ライフセービングスポーツには欠かせない存在です。そこで出会ったライフセーバー達は競技のトップ選手とはまた違った、でも間違いなくトップクラスのライフセーバー達でした。

そんな人たちに習っているうちにIRB(Inflatable Rescue Boat)に興味を持ち、ライフセービングにもより深く関わるようになりました。安全課を学んでいるうちに、色々な地域のライフセーバーと出会い、コミュニティが広がりそれが認められて今では競技安全委員としても活動させて頂いています。

所属クラブ

私が初めて所属した下田ライフセービングクラブ(LSC)はIRBをパトロールに活用しているかつ学生のみで稼働ができる、日本では珍しいクラブでした。私は周りに比べて泳げるわけでもボードを漕げるわけでもなかったので、何か自分の武器が欲しかった、そこで出会ったのがIRBでした。

IRBの技術を高めるためにレースを始め、出会ったのが安全課でもお世話になっている西浜SLSCの飯塚剛志さん。IRBの師匠であり色々なことを教えてもらいました。そのおかげで西浜SLSCにも所属し、一緒にIRBレースに取り組む様になり、全日本選手権では総合優勝、日本代表チームにも選んで頂くことができました。

そしてライフセービングのトレーニングのためにオーストラリアに渡り、初めて所属した下田LSCの姉妹クラブでもあるMaroochydore SLSCでは本場のライフセービングと生活を直接肌で感じ、沢山の仲間達と出会い、今までのライフセービング観をいい意味で大きくひっくり返されました。

その後IRBレースのトレーニングのために全豪IRBチャンピオンクラブであるKirraSLSCに所属、シルバーメダリオン IRB driver資格を取得し、ワンシーズン共にトレーニングに取り組み、チームの一員として全豪選手権にも出場、チームは見事総合優勝し2024年の全豪チャンピオンチームに輝きました。

2024年9月に迎えたLWC2024(ライフセービング世界選手権)では日本初、IRB競技でのメダルを2つの種目で獲得。日本の可能性をまだまだ感じることのできた大会でした。

ライフセービングの素晴らしさ

私はこれらのライフセービング活動を通して本当に沢山の人たちと出会うことができました。それは自分の大学やクラブに限らず、日本全国に、そして世界中に、今となっては地球の反対側にまで友達がいます。そんな「ライフセービング」という同じ目標を持った人たちと活動を通して出会えたことが1番の宝物です。

(写真は先日ニュージーランドで行われたニュージーランドIRB選手権に出場した時に各国のドライバーが集まって写真を撮ったもの。左からニュージーランド男子代表のShane、イギリス女子代表のMali、オーストラリア男子代表のBen、そして日本代表の自分。慎さん、このような場面に出会う機会を頂き本当にありがとうございました。)

日本では知名度の低いIRBですが、ライフセービングの本場であるオーストラリアやニュージーランドではライフセービングを象徴する救助機材で、電車やバスの広告、国のホームページなど様々なところで目にする機会があります。そんなIRBがなぜ日本で浸透しないのか、それはそもそも日本のライフセーバーにすら知られていないから。自分の話をきっかけにみなさんが少しでもIRBに興味を持って頂けたら嬉しいです。

最後に

長くなりましたが最後に、私は幸運なことにまだ心臓が停まっているような重大な事故に直面したことはありません。ですが、その時がいつ来てもいいように、何よりもそんな事故が起きないように、そしてこのまま一生そのような場面に出会わないで済むように日々海に向かい全力でトレーニングをします。
ライフセーバーは様々な人のサポート無くして活動することはできません。これを読んだ方々の心を少しでも動かすことができたなら大変嬉しく思います。これまでサポートしてくださっていた方々もこれから一歩踏み出す方々も、誰にどんな形で、どんなに小さなことでも良いのでこれからも是非応援、サポートをよろしくお願いします。

髙橋 颯
Ryu TAKAHASHI

国士舘大学LSC OB
下田LSC/西浜SLSC
Maroochydore SLSC/Kirra SLSC Silver medallion IRB driver

JLAスポーツ本部 競技安全委員会
JLA学生本部 第20期学生委員会OB
LWC2024 IRB日本代表
IRB Tube rescue & surf rescue 第3位/総合第4位

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