ライフセービングを始めたきっかけ
幼少期から高校生まで競泳を続けてきた私は、大学に入学しても水泳を続けようと水泳部に仮入部しましたが、練習があまりにハードでまったく付いていけず、わずか1週間で退部することになりました。そんな時、同じ大学のプールで活動していたライフセービング部のメンバーに声をかけてもらい、入部したのがライフセービングとの出会いです。
プールだけでなく、海で泳ぐ・パドルする・砂浜を走るといった新しいアクティビティはとても新鮮で、すぐに夢中になりました。さらに、自分が幼少期から鍛えてきた「泳ぐ」という能力が、人の命を守ることにつながる。その事に強く心を動かされ、ライフセービングにのめり込んでいきました。

在学中や卒業後も、ライフセービングが最も盛んな国であるオーストラリアに、勉強や修行のために何度も渡りました。現地の資格を取得し、パトロール業務にも従事しながら、ライフセービングスポーツのプロリーグ戦を目指してトレーニングを積んだ経験は、今でも鮮明に覚えています。現在は仕事や家庭の都合で長期間滞在することは難しいですが、いつかまた挑戦したいという思いを胸に抱き続けています。


現在の活動
1. 日本代表活動について
2009年に初めてU22日本代表に選出されてから、現在に至るまで日本代表選手として最前線で活動を続けています。これまでに7回世界選手権に出場し、数多くの国際大会や海外遠征を経験してきました。そのなかで世界中にライフセービングの仲間ができ、今でもSNSなどを通じて交流を続けています。国や文化を超えて同じ志を持つ仲間とつながれることは、この競技の大きな魅力の一つです。

2. 指導者として
現在は母校であり、自分がライフセービングを始めるきっかけとなった東海大学湘南校舎のライフセービング部でコーチを務めています。自らトレーニングを続けながら、後輩たちの指導にもあたっています。近年では、現役の大学生やかつての部員だった後輩たちと共に日本代表として海外遠征に行く機会もあり、指導者としても選手としても非常に感慨深い経験をさせてもらっています。
3. サーフヒーローズについて
2021年からは「サーフヒーローズ」というライフセービングスポーツの大会を自主的に立ち上げ、運営しています。きっかけは、コロナ禍でライフセービングスポーツの大会が止まってしまったことでした。私自身がオーストラリアで修行をしていた際、毎週のように地域大会(カーニバル)が開かれていたのを見て、もっと気軽に参加できるライフセービングスポーツの草レースを日本でも増やしたいと思ったのです。現在では年4回程度のペースで開催し、毎回約200名の選手が参加してくれる大きなイベントへと成長しました。運営は大変ですが、だからこそ大会が開かれることのありがたみを誰よりも感じていますし、参加者のみなさんに楽しんでいただけていることが大きな励みとなっています。


ライフセービングで得られたもの
ライフセービングを通じて、私は「生涯を通じて挑戦し、携わっていくであろうもの」を見つけました。世界に挑む中で得た海外経験、そして何よりも海というかけがえのない遊び場であり第二の故郷のような存在、そしてそこに集う仲間たちに出会えたことは、私の人生の宝物です。

活動を続けるなかでは、実際に溺れてしまう人や、目の前で亡くなってしまう人を見たことも何度もあります。そのたびに大きなショックを受けますが、楽しいだけではない「やりがい」と「責任感」が常に付きまとうことも、この活動ならではの魅力だと感じています。
ライフセービングにはさまざまな活動がありますが、その根幹には人の命を守るという大きな使命があります。その中で得られる経験や仲間との絆は、他では味わえない特別なものです。私はこれからも、この活動の魅力を多くの人に伝え、未来のライフセーバーが生まれるきっかけになればと思っています。
茅ヶ崎サーフライフセービングクラブ、大磯ライフセービングクラブ 所属
世界選手権 日本代表(2010、2012、2014、2016、2018、2022、2024)
JLAサーフアシスタントインストラクター