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東北のライフセービングについて:盛岡ライフセービングクラブ 松原浩一

2021.12.14 (Tue)

 東北は「海」の季節が短く、また全国有数の若年人口の流出率が高い、少子高齢化が著しい地域です。そんな東北地域のライフセービングは苦難の連続で今日に至っています。

 東北のライフセービングは、SURF90鎌倉LSCで社会人ライフセーバーとして活躍し、岩手県に帰県後地元のサーファーなどにライフセービングを広めた佐々木聡氏と、拓殖大学LSCに所属しJLA発足前に現スーパーバイザーの足立正俊氏の呼びかけにより構築されたプールガードのネットワークに参加していた筆者が、1998年に岩手県久慈市に東北初のJLA公認クラブ「久慈ライフセービングクラブ」を創設したことから始まっています。

ライフセーバー

 その後、2000年に佐々木聡氏が「釜石ライフセービングクラブ」を、2003年には安藤太郎氏が「秋田ライフセービングクラブ」を、千葉善博氏が「大船渡ライフセービングクラブ」を創設し、さらに青森県ではチェスボローカップ水泳駅伝大会実行委員会が中心となって「つがるライフセービングクラブ」が創設されました。

 2005年には、筆者の呼びかけにより「東北ライフセービングフォーラム」が岩手県盛岡市で開催され、東北各クラブの横の連携がスタートします。その後、2006年に陸前高田青年会議所メンバーを中心に「高田ライフセービングクラブ」2008年には筆者が「盛岡ライフセービングクラブ」を創設させ、さらに2009年には水球指導者の木村潤一氏、ライフセービングスポーツ競技者の親であった植松知加子氏、ライフガードの深瀬靖彦氏を中心に「山形ライフセービングクラブ」が創設されました。

東北支部設立準備委員会

東北のライフセービングは飛躍的に広がりを見せましたが、2011年3月11日、東日本大震災が発災、東北の太平洋沿岸各地に未曾有の大津波が押し寄せ、街が消滅するなど壊滅的な被害を受けました。直接的な被害を受けた大船渡・高田のクラブは活動を休止し、東北の各クラブは「復興」への厳しい道のりを歩み始めます。そのような中で2012年には、全国のライフセーバーの支援により現在の全日本ジュニアユースプール競技会の元となった競技会が岩手県釜石市で開催されたほか、同年には、小山大介氏が震災の爪痕が残る宮城県気仙沼市に「気仙沼LSC」を、2018年には今井恵子氏が福島県いわき市に「いわきライフセービングクラブ」を創設し、現在に至っています。

東北ライフセービングキャラバン

 東北のライフセービングは、東日本大震災という大災害を経験しながら、春を待つ雪割草の如く、地域に根を張り地道に成長を重ねてきたものです。私たちは、全国からの支援に感謝し、いつか恩返しができるように歩みを進めていかなければならないと常に考えています。

祈り

寄稿:松原 浩一(まつばら ひろかず)

松原氏写真

1980年頃~盛岡ライフセービングクラブ

高校生のころに地元(埼玉県さいたま市)でプールガードのアルバイトを始め、拓殖大学に進学後、サーフライフセービングに誘われたのがきっかけにライフセービングを始める。現在はJLA防災対策委員会委員を務める。

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