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かながわプロジェクトの未来:神奈川県協会 菊地一郎

2021.12.11 (Sat)

 コロナ禍で始まった「かながわプロジェクト」(正式には神奈川県と日本ライフセービング協会が海岸水難事故防止活動の実施に関して締結した包括協定)は、様々な気付きと期待の機会となりました。長いことライフセービングに関わらせていただいていますが、変わらない、変えられないと感じていたことが、一部ですが形になりました。

 

包括協定の下、県内の海岸線を四つにエリア分けし、マネージャーを配置。そのエリアマネージャーが、県下でパトロール活動を行うライフセーバーと神奈川県を結びました。これまで、海岸を管理する県とライフセービングが一緒になって海岸水難事故防止を行う機会は希有でしたが、2021年夏、新型コロナウィルスの影響で各市町が海水浴場の非開設を発表すると、海岸の安全を不安視する地域住民の声があがり、神奈川県が動き始めます。

現時点で2年続くプロジェクトから、海岸管理者である県が動くことの意義を感じています。そして、県が動いた要因の一つである、地域住民の方の声はライフセービングに対する期待でもあるように思います。これまで、神奈川のビーチカルチャーにダイナミックな変化は及ぼせていませんが、地道なライフセーバーの活動は必要と感じていただけていたとしたら大変嬉しいことです。

一市民として、冷静に見渡せば、国内に社会課題は山積しています。諸外国とそれらを比較し、競争するのなら、なおさら国や県のやるべきことはたくさんあるのでしょう。その中で、海岸水難事故防止に注目してもらうのは至難の業ということも分かりますが、昨年のプロジェクト開始以来、なんとか包括協定を永年的なモノへ昇華できないかと試行錯誤しています。長く、ライフセービングに関わらせていただいている者として、次世代にライフセービングの新たなステージを用意できるよう努力せねばと改めて思います。新たなステージを迎えるには、ライフセービングが変化することも必要です。失ってはいけないスピリッツと時代に合わせた変化で地域住民や海を利用される皆さんの期待をより強固にして行くことを目指します。その結果として、本協定で実施されているコトが恒常的なモノになると信じています。「かながわプロジェクト」の未来は、かながわのビーチカルチャーの創造です。

 

寄稿:菊地 一郎(きくち いちろう)

1987年~鎌倉ライフガード

子どもの頃、夏休みに遊びに来ていた材木座海岸のライフガードに誘ってもらったことがきっかけでライフセービングを始める。

現在、神奈川県ライフセービング協会 副理事長を務める。

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