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JLA 30th Anniversary

近畿地方のライフセービング事情:京都府ライフセービング協会 山本良徳

2021.12.17 (Fri)

近畿におけるライフセービングの始まりは、1980年代の終わり頃に、湘南で実施されていたライフセービングに加わった数名の社会人が大阪に帰ってきたことから始まりました。1989年和歌山市片男波海水浴場でボランティアとして監視活動を始めたのです。メンバーは会社員や学校の先生、主婦などで、お互いの都合の許す範囲で時間をつなぎ合わせてビーチに立ちました。やりたい者がやりたいのでやるという自発的な活動からできたのが大阪ライフセービングクラブ(初代代表山岡圭一氏)です。その後、練習などで訪れていた同市磯ノ浦海水浴場から監視活動の依頼を受けました。阪神・淡路大震災の起こった1995年のことです。大学生の参加が増え、輪が広がり、平日でも人を確保できるようにうなり磯ノ浦海水浴場と白浜町白良浜海水浴場(JLAから受託)で本格的な海水浴場の監視活動を始めました。1998年からは片男波海水浴場でも本格的に監視活動が始まりました。海水浴場の監視のみならず、笠置カヌーフェスティバルや大阪天神祭船渡御、トライアスロンなどの水に関わるイベントの安全監視も担うようになりました。2005年には内閣府指定NPO法人となりより一層のライフセービングの発展に努めており、現在は、片男波海水浴場、磯ノ浦海水浴場、白良浜海水浴場での監視業務、大阪城トライアスロンをはじめ多くのトライアスロン、オープンウォータースイムの監視など多方面に渡り活動しています。

大阪LSC

兵庫県では1989年より山根嘉樹氏らが神戸YMCA学院専門学校の講師としてオーストラリア・ライフセービング研修プログラムを立ち上げ現地のライフセービング資格を取得してきました。その資格取得者が100名を超えた1992年に現在姉妹クラブであるBurleigh Heads M.B.Pサーフライフセービングクラブから「資格をコミュニティのために活かす受け皿となるクラブを神戸で作れ」と指摘されました。山根氏らは神奈川県へ出向きSURF 90に話を聞き、大阪LSCが活動する海水浴場での監視活動を見学するなどして準備を進めました。そしてYMCAの学生とOBOGを主体として1994年6月に任意団体として神戸ライフセービングクラブが発足しました。その夏には須磨海水浴場にて水上安全技術のトレーニング、日本赤十字社のボランティアの形で監視活動を開始しました。翌年の阪神・淡路大震災では救護ボランティア活動等にも活動の一環として積極的に取り組みました。1998年からは人工海浜としてオープンしたアジュール舞子にて監視活動を開始したことを機に、JLA公認クラブへ登録し初年度パトロールディレクターとして國木孝治氏が派遣されました。一方須磨海水浴場では、監視員と日赤のボランティアによる監視体制をとっていましたが、例年溺水者が相次いでおり、ライフセーバー派遣の依頼を受け1999年から同海水浴場でも週末の監視を始めました。2001年に大蔵海岸での砂浜陥没事故の影響でアジュール舞子は2002年から2004年まで閉鎖されました。須磨では平日の活動も始まり現在では、監視員の雇用も行い、ライフセーバーと監視員の連携による監視体制を進めております。また2019年にはブルーフラッグ認証を取得しユニバーサルビーチを発信しています。

 

日本海側では、京都府で松尾勇樹氏がオーストラリアでライフセービングを目にし、地元にもクラブを作りたいと有志を募り、2000年7月に舞鶴市神崎海水浴場を拠点に日本海側で3番目となる任意団体舞鶴ライフセービングクラブが発足しました。発足に先立ち愛知LSC主催の資格講習会を2代目代表山本良徳ら社会人3名が受講し、4人の有資格者と数名の有志が集まり、社会人として時間の割ける土・日・祝日のみ1本のレスキューボード、数本のレスキューチューブで2kmに及ぶビーチでのボランティアとして監視活動を開始しました。最初の週末に子どもが沖に流されるという事案が発生し、無事救助することができたことで地域におけるライフセービングの必要性を感じてもらうことができました。しかし、他の浜での経験がない者の集まりで資格取得者も少なく、右も左も分からない状態でのスタート。多くの試行錯誤を繰り返し、既に活動している浜へ出向き、パトロールの仕方やライフセービングのあり方などを学び、それを自分たちのライフセービングスタイルを築き上げていくのには多くの苦労がありました。京都でのライフセービングのニーズは高まり、活動の普及と発展・継続のため、宮津市天橋立海水浴場・府中海水浴場に拠点を移し、業務委託契約を結んでの活動を開始致しました。2009年には「京都ライフセービング」への名称変更、翌2010年には京都府の認可を受け「NPO法人京都ライフセービング」を設立し丹後由良海水浴場への監視も始め宮津市全ての浜での監視活動が始まりました。

京都LSC

京都15周年

海水浴場以外でも小中学校の臨海学校やトライアスロン、オープンウォータースイム、地域のイベントへ安全管理の依頼も増えると共に、社会人主体でやってきたクラブにも近年学生が活躍するようになりました。JLAの公益財団化に伴い、NPO法人京都ライフセービングは、NPO法人京都府ライフセービング協会(理事長山本良徳)に、任意団体の京都ライフセービングは地域密着型のクラブを目指し天橋立ライフセービングクラブ(代表竹内啓氏)にそれぞれ組織再編を行いました。また、せんなん里海公園・淡輪ライフセービングクラブ、淡路島ライフセービングクラブの活躍、2020年には兵庫県ライフセービング協会が設立されました。日本海と太平洋、そして日本一の大きさの琵琶湖がある近畿地方にとって、ライフセービングの普及は望まれる未来であると思います。

 

寄稿:山本 良徳(やまもと よしのり)

山本良徳氏

2000年~舞鶴ライフセービングクラブ、京都ライフセービング、天橋立ライフセービングクラブ

小学校の後輩に誘われてライフセービングをはじめる。

 現在は京都府ライフセービング協会理事長、JLAアカデミープールライフガーディング委員会委員

 

 

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