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JLA 30th Anniversary

NPO法人から公益財団法人へ、申請から認可まで:風間隆宏,川地政夫

2021.12.20 (Mon)

 

JLAにとって「財」とは何か? (風間隆宏)

2014年から発足した「組織・会員会費制度検討プロジェクト」では、「法人格の検討」、「組織の再構築」、「会員・会費制度の改定」の3点を論点として議論を進めました。JLAの価値とは何か? ライフセーバーの定義は? などの哲学的な話から、財務体制、会費制度から資格登録制度へ、各規程の整理・改定などの実務的な話まで広範囲に渡り作業をしました。

議論は多岐に渡りましたが、特に印象的だったのは、どの法人格を目指すかという議論。公益法人には、一定の目的のために複数人が組織的に結合した人の団体の「公益社団法人」と一定の目的のために寄附された財産の集合体の「公益財団法人」があります。当初社団法人を目指していましたが、財には、金銭的財産だけではなく、その理念、価値、品質なども含むことから、財団法人の方が相応しいという結論になりました。プロジェクトがJLAの価値とは? という根本的な議論からスタートしたからこそ、導かれた結論です。

私自身、当初一委員としての参加でしたが、紆余曲折あり、最終的にはリーダー的立場でプロジェクトを進めました。西浜SLSCでNPO法人の運営について多少の経験があり、その経験からプロジェクトを進める上で特に意識したのは、①アウトプットを出し続ける。②決定、決断をする。③手を動かしてくれる人をリスペクトすることです。ボランティアベースの集まりであるので、同じ委員でも割ける時間や想いが異なります。空中戦になりがちな議論を前に進めるには、多少強引でもアウトプットを出し続ける事、そして決定・決断していく事が何より重要で、それが次の議論に繋がります。また動かない人を嘆くのではなく、手を動かしてくれる人をリスペクトする。強い目的意識を持ち、かつ手を動かせる人がプロジェクトを進めるしかありません。

当時40歳前後でしたが、組織が大きく転換する意思決定の中での仕事が出来た事は、純粋に面白く、資料作成もそれほど苦になりませんでした。多少社会経験も積んだ自分が、このタイミングでこのプロジェクトに関われたのは、何かのお告げか、なんて考え、鼓舞しながら続けました。

プロジェクト終了後も、申請作業などにも関わり続けました。一度申請した書類を取り下げ、再申請する等、決してスムーズには行きませんでしたが、都度ブラッシュアップされる書類を励みに続けました。無事承認された時は、一緒に作業を進めていた川地さんと安堵した事を覚えています。

2019年5月の公財設立記念式典では、学生時代、LOCOで主将・副主将で切磋琢磨した同期が、なんと海上保安庁の来賓の一人として参加してくれました。転勤が多い中、このタイミングで彼がこのポジションにいたことは奇跡的。まさにTHE DAY。やはりお告げだった。

 

公益財団法人に至るまでの変遷(川地政夫)

ここでは日本ライフセービング協会が任意団体から特定非営利活動法人(以下NPO法人という。)を経て、現在の公益財団法人に至るまでの変遷を述べたいと思います。

1991年、日本ライフガード協会と日本サーフライフセービング協会が統一し、「日本ライフセービング協会(理事長・金子邦親)」が任意団体としてスタートしました。その後、加盟団体(クラブ)や個人メンバーが徐々に増え、講習会や競技会等の各事業も全国的に実施されました。こうした中、任意団体から法人格を持つ組織への改編が協議されました。その社会背景には1995年1月に阪神・淡路大震災が発生し、この時、復興支援等を支えるボランティア組織を育む社会形成が望まれ、法制化されたその組織形成が「非営利」であったことから、ライフセービングの精神及び組織形態がそれに合致すると判断し、2001年に内閣府へNPO法人として申請し認証を受けました。そして翌年2002年からNPO法人としての組織運用が始まりました。

以降、NPO法人としての組織運営において次なる課題解決が必要となってきました。それは、ライフセービングのさらなる全国展開、地域の活性化と普及、会員数や活動浜数の増加等でした。そこで2013年12月の臨時総会では、そうした課題解決を見据えた組織体制と、その受け皿となる法人格の検討を進めることを決議し、本格的な協議が始まりました。そして2014年から2015年の二年間にわたり「組織・会員会費制度検討プロジェクト」を発足させ検討しました。その答申として2016年の総会で「2018年度に公益財団法人を設立する」という方針が提示され、承認されました。

公益財団法人を目指す理由は、社会的信頼性の向上、資格等の価値向上、ライフセーバーの社会的認知や地位向上等を図るためであり、本部の法人格を公益財団法人として、その機能をライフセービングの「財(理念/価値/財産/品質)」を束ねることとして社会性をより高めて寄付等を多く募ることを目指すとしました。また都道府県協会・クラブの法人格を「社団法人またはNPO法人等」としてその機能をライフセーバーという「人」を束ねることとして、本部との役割を明確に分けて全体の組織力向上を促進させることを目指すとしました。

この後、2017年6月に一般財団法人の登記を完了させ、その後はNPO法人と一般財団法人の2団体を並行して運営し、2019年3月にNPO法人を解散、4月には一般財団法人から公益財団法人となり現在に至ります。

 

 


寄稿:風間 隆宏(かざま たかひろ)

1994年~東海大学ライフセービングクラブLOCO、西浜サーフライフセービングクラブ、北海道ライフセービングクラブ(現北海道ライフセービング協会)

海が好きで海洋学部に入学し、海での活動がしたいと思い、様々な海関係のサークルを見に行ったが、LOCOの先輩方が一番カッコよく、輝いていると感じライフセービングをはじめる。現在はJLA常務理事、アカデミー本部長を兼務。

 

寄稿:川地 政夫(かわち まさお)

masao kawachi

1989年~日本体育大学ライフセービング部、神津島ライフセービングクラブ

大学で新しい活動を始めたいと思い学生寮の先輩に紹介され説明会に参加したことをきっかけにライフセービングを始める。現在のJLA事務局において協会全体の組織運営や各事業運営のサポートなど事業全般を担う。

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