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JLA 30th Anniversary

全日本選手権の歴史:永井宏

2022.01.11 (Tue)

はじめに日本ライフセービング協会設立30周年を迎えるにあたり、これまで「喜怒哀楽」の道程を歩んで来られました皆様方と思い出を共有したいと思います。

全日本開会式

全日本大会は2021年で第47回を迎えました、この数字が物語る背景には、1991年、日本赤十字の救助法を基盤とした「日本ライフガード協会/JLGA」と、オーストラリアの救助法を基盤とした「日本サーフライフセービング協会/SLSA」との統合による「日本ライフセービング協会」設立とともに、全日本大会を新たに第1回とする案が出ました。しかし過去の歴史の中から協会設立に至った経緯を重んじ、1975年 湘南指導員協会主催(日本ライフガード協会の前身)で行われた第1回大会(鎌倉由比ガ浜)からの歴史が語られています。

 

話は全日本大会から少々脱線しますが、前記の組織統合の目的の一つとして翌年1992年に下田市(白浜大浜)で行われる日本初の国際大会「RESCUE92」世界大会を開催するにあたり、ILS(国際ライフセービング連盟)から国内の組織を統一することを条件とされた経緯が有りました。

 

さて話を戻しますが、当初から数年の間は参加クラブ数も参加選手も少数であったことは言うまでもなく、ボードレースはレスキューボードで出場し、サーフスキーレースに至っては皆無でした。

数年間は夏のシーズン中に大会が開催されておりましたので、毎回早朝午前4:00頃に集合し、各浜のパトロール開始時間に間に合うようにタイムスケジュールを組み、とにかくバタバタの中での開催でした。

その様な中でも選手の熱意と前向きな姿勢は関係者全員が認め納得し、眠い目をこすりながらのこの大会は不可欠でありライフセービングの発展には重要である事を深く受け止め理解を共有していました。

振り返れば、その様な大会から毎年改善された2021年の大会では、参加クラブ数60クラブを上回り、参加選手に至っては1,000名を上回るビックイベントとして成長を成し遂げて来ました。

 

思い出に残っている大会は数多く有りますが、私が特に深く記憶に残っている大会を2つほど紹介します。

その1は、1995年に湘南平塚ビーチパークで行われた第21回大会での出来事です。50年(半世紀)に一度と言われた超大型台風が太平洋沿岸を北上し、平塚海岸では11mを超える大波が押し寄せ大会2日目に中止となった大会です。これだけの大波を目の当たりにした事は今日に至るまで人生初でした。しかしながら大会中止の判断に至るまでは容易ではなく、選手たちは「このような状況下でも救助が必要となれば要救助者を見捨てられませんよね、波の状況を見てきます」と言い残し海に入って行きました、しかもスキーです。当時競技委員長であった私は選手たちの熱意と安全の両立を図るために苦心した事を思い出します。

余談ですがその時にスキーで大波を超える写真がその後のポスターに掲載され絶賛されたことも有りました。

波を越えるサーフスキー

 

その2は、1999年に千葉県蓮沼海岸で行われた第25回大会です。

協会歴史上神奈川県外での初めての大会で、湘南地域とはかけ離れた厳しい波の環境下での大会でした。参加選手の中には初めて見る海を前に棄権をする場面や、急な潮の流れや不規則に押し寄せる波の状況に対応できず、レース途中で救助される選手等が多数出るなど従来の大会とは異なる場面が多く見られました。この時、このような環境下で日頃パトロールを行っている地元クラブメンバーには改めて頭が下がる思いでした。

アイアンウーマン優勝佐藤文机子8連覇

出来る事であるならば、全国のライフセーバー達が、自分達の浜だけで満足する事無く、全国のあらゆる浜を見聞することも重要で有ると感じました。同時に全日本大会も全国各地での開催を試みたいものだと気づかされました。もう一つ従来の大会では無かった思い出は、地元の方々からの暖かいご支援でした。大会前日には前夜祭を企画して頂き大歓迎されました、その時に一生懸命お世話をして頂きました一人一人の笑顔は今でも鮮明に記憶しております、その節にはお世話になりました、本当にありがとうございました。

 

最後に、今後の課題として、大会の方向性すなわち大会の「意義」「目的」「未来」を常にブレることなく志向して行く事が不可欠ではないでしょうか、老婆心ながら益々の発展を願っております。

 

寄稿:永井 宏・ながい ひろし

1980年~WANDA SLSC、湯河原LSC

大学生時代に幼児が溺れているのを目の当たりにした事をきっかけにライフセービングを始める。

現在は神奈川県ライフセービング協会理事を務める。

 

 

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