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JLA 30th Anniversary

国際貢献に必要なこと:中川容子

2022.03.11 (Fri)

国際交流

 日本のライフセービングはオーストラリアや諸外国からたくさんのことを学び、発展してきました。個人、クラブ、協会間で海外を活発に行き来して多くのことを経験し、学んできました。きっと、このような交流を通して、感動したり、うれしかったり、何にも代えがたい経験をしてきた方は多くいると思います。

 
 日本の成長はもちろん海外からのサポートだけでなく、ライフセーバー一人ひとりの情熱と努力によって大きく発展してきました。日本は近年、世界選手権で総合8位の成績を収め、ワールドゲームスのプール競技では世界新記録も樹立しています。アジアの国々から憧れられる存在になっています。学術面でも世界溺水防止会議の発表も評価を受けています。支援を受けるだけでなく、十分に貢献できる国になっています。日本は島国でもあり、災害が多い国でもあります。我々が経験してきたこと、伝えることができることは無限大にあると感じています。

 

国際ライフセービング連盟(ILS)は4つの地区に分かれており、日本はアジアパシフィック地区に所属し、JLAのミッションでは「アジアパシフィックを中心とした国際貢献」をうたっています。

 

今まで国内で開催している国際大会にアジアの国々の方々に大会運営やコーチングについて学ぶ機会を提供したり、タイで行われたサーフセミナーに、JLAからコーチを派遣しています。このような機会創出に各国から高い評価をいただいています。

 

また、ミクロネシア連邦にWater Safety Projectを実施する事前調査にメンバーを派遣しました。学校、女性組合、病院などを訪問しミクロネシアでは多くの方が水辺の事故で亡くなっていることがわかりました。今後、コロナが明けたら、プロジェクトを進めていきたいと考えています。その際は実施メンバーを募集するつもりですので、興味のある方はお声かけください。

 このほかにもクラブ単位や個人で国際貢献をしている方も多くいると思います。

 

皆様も今までライフセービングを通して、誰かにお世話になったことがあるのではないでしょうか。お世話になった方に同等の恩返しができなくても、別の人に親切にすることでお世話になった方への恩返しになるというPay it forward(恩送り)という言葉があります。きっと皆様も気づかず自然にやっているのではないでしょうか。各個人ができることで次のだれかに貢献していくこと、それは大きな動きになります。

 

言語の壁はあってもライフセービングという共通言語と情熱を注ぐ共通の関心があります。国の環境はそれぞれ違うし、文化も違います。お互いを尊重し、柔軟な考えをもって、国際貢献に取り組むことが必要かと思います。

JLAとしてはいろいろな団体を巻き込みながら、興味をもったライフセーバーとともに国際貢献を継続していきたいと思っています。

 国際貢献は何かを教えたり伝える以上に自分自身が学ぶことが多く、大きな財産となってご自身に蓄積されるでしょう。国際貢献に必要なことは、わくわくの気持ちを持ち、Pay it forward をし続けることではないでしょうか。

 

 中川容子・なかがわ やすこ

Yasuko Nakagawa

1994年~成蹊大学ライフセービングクラブ、下田ライフセービングクラブ、館山サーフライフセービングクラブ

成蹊大学で勧誘されたことをきっかけに、ライフセービングを始める。

現在はJLA国際室室長、JLA理事、国際ライフセービング連盟(ILS)アジア太平洋地区理事を務める。

 

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水辺の事故ゼロへつながります

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