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JLA 30th Anniversary

ライフセーバーはこれまでにどれだけの人命を守り、救ったか…?:中山昭

2022.04.05 (Tue)

ライフセーバーによる水浴場における監視・救助活動の実績/1998年-2020年

この度、公益財団法人日本ライフセービング協会(JLA)設立30周年記念の節目にあたり、

「ライフセーバーはこれまでにどれだけの人命を守り、救ったか…? 」

ライフセーバーの献身的な監視・救助活動によって守り、救った人命の数を表すことによって、全国のライフセーバーの活動がどれだけ社会貢献に繋がっているのかを明確に伝えることができるのではないか...。そのような想いから、あらためてこれまでの統計数値をまとめてみました。

JLAがパトロールログの集計を開始した1998年から2020年までの間で、JLAに加盟するライフセービングクラブが監視・救助活動をしている約200箇所の水浴場から、認定ライフセーバーが携わった救助や一次救命処置、応急手当の件数をパトロールログ(記録)から毎年集計を積み重ねて来た数値で、ご覧のとおり多くの人命を守り、救って参りました。

これらの数値は、緊張が続く過酷な環境下で監視・救助活動の実践に携わったライフセーバー一人ひとりの志と汗が染み込んでいるとても意義深く尊いものであります。

 

Preventive Action(意識のある溺者の救助) 44,984人

Emergency Care(意識のない溺者の救助)        391人

(内訳、蘇生186人、死亡173人、不明32人)

※現場でのライフセーバーによる確認、搬送後の確認を含む.

応急手当                                  345,828人

また、パトロールログとは別に救急車を要請するような重症者へ対応をした際に記録するレスキューレポートや傷病者記録票の記録も、現場でどのような事故や傷病が発生していて、ライフセーバーが現場でどのように対応しているかを知る上でも大切な記録となっています。事後にJLAメディカルダイレクター(医師)や救助救命本部専門委員の検証を経て、監視・救助活動の技術向上や事故防止に向けた対策を検討するのに貴重な情報源となっています。

近年、海上保安庁や消防庁をはじめとする国の公的救助機関や医療機関、行政・自治体等から、こうした監視・救助活動中の情報共有が求められるようになり、例えば、これらパトロールログの集計数値からわかる事故原因などは国の水難事故防止対策を検討する上での参考資料にされるなど、また、傷病者記録票は救急隊との連携強化、傷病者の迅速な搬送に役立つ情報として活用されています。また (意識のない溺者の救助)の蘇生の数の多さにも医療関係者からも着目されるなど、レスキューレポートの検証からライフセーバーの一次救命処置の実態を把握し、現場への適切なアドバイスにも繋がっています。ライフセーバーの監視・救助活動の実践は言うまでもなく大切ですが、パトロールログ、レスキューレポートや傷病者記録票へ記録を残すことも未来の人命を守り、救うためにとても重要なことです。

 

我が国には1,176箇所の海水浴場(海上保安庁調べ)、30,500箇所のプール(文部科学省調べ)がありますが、JLAは国際ライフセービング連盟(ILS)の日本代表機関として、国内のライフセービングの普及をこれまで以上に加速させ、全国のライフセーバーの監視・救助活動の情報をより広く、正確かつ迅速に収集し、そこから知り得る有益な情報をしっかりと公表して行くことで、国民の水辺の安全利用にまだまだ貢献ができると思うと同時に、JLAの社会に果たす役割は益々大きくなって行くと実感しています。あらためて監視・救助活動の実績をみつめながら、これまでに携わってくれた全国のライフセーバー諸氏を誇りに想い、この場を借りて深く感謝申し上げます。

これからも水辺の事故ゼロをめざして共にライフセービングを続けて参りましょう。

 

寄稿:中山 昭(なかやま あきら)

1986年~ 下田市白浜大浜海水浴場にて活動をはじめる。

大学2年生の時に、「水泳理論」という体育の授業を履修し、その教授をはじめ一緒に履修していた友人たちからも下田市白浜大浜海水浴場で実施されるワールドライフセービング(WLS)・ベーシックサーフライフセーバー資格の取得を勧められて、受講したことをきっかけにライフセービングをはじめる。

現在JLA事務局次長を務める。

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