学生本部は学生委員会と中学高校委員会の2つの委員会から構成されています。どちらもライフセービングに係わる学生・生徒の教育活動を支える機能と役割があります。委員会メンバーは教育機関クラブ(48クラブ/2022年3月)を対象に、学生委員会は大学クラブの学生を中心に、中学高校委員会は中学高校クラブの教員にて構成されています。
学生本部の組織変遷として、学生委員会は1委員会から事務局学生室(2012年)へ、そして学生部(2017年)を経て学生本部(2019年)へと組織内において進化発展を遂げました。歴任担当者として初代は松本貴行さん、2代目は泉田昌美さん、3代目は私、現4代目は白井勇喜さんが務めています。ちなみに白井さんは、松本さんと泉田さん時代の学生委員メンバーです。中学高校委員会は学生部が発足した際に、中高生活動推進委員会(地域クラブジュニアユース担当者と学校クラブ教員にて構成)してスタートし現在に至っています。委員長は島田貴史さんが務めています。
学生本部の主な活動内容は下記が挙げられます。
【学生委員会】・定例会 ・学生リーダーズキャンプ ・新入生交流会
・全日本学生選手権大会/全日本学生プール競技選手権大会
・小学生/中学生/高校生プログラム ・大学クラブ指導者ミーティング
・SNS等を活用した学生活動の情報発信 ・新学生組織への準備会議
・コロナ禍の大学クラブ現況調査 ・各種イベントへのスタッフ参加
【中学高校委員会】
・部活動実態調査と提言 ・記録会/交流会の企画運営と仕組みつくり
・クラブ指導者の情報交換と新規クラブ創設促進
学生委員会の活動を端的に振り返ります。活動は毎年約60名の大学生が集い、学生委員長(上級生)を始めとする執行部役員と教育/スポーツ/広報の各グループリーダーを中心に運営し、各事業を学生委員が主体的に企画実施する、そのプロセスを重視していました。それに伴う定例会を月1回、東京・神奈川にて開催し、九州や関西の大学クラブからも夜行バス等で費用を抑え参加していました。各地からメンバーが集まるため、情報交換や交流の場としての役割も果たし、現在も大学の枠を超えた交友関係を保ち続ける卒業生が多くいる様です。
また、学生選手権や広報の活動ではJLA各部局との調整や交渉、リーダーズキャンプや小中高プログラムの活動では学生や教員/子どもや保護者等への対応など、その経験を通して、力不足や達成感を味わい、仲間との信頼関係や絆を深め、自然や他者への感謝を実感できる多様な機会に恵まれました。特筆すべきこととして、小中高プログラムの競技会を経て、現在の全日本ジュニアユース選手権大会に発展したことが挙げられます。
そして、環境変化の大きい時代も訪れました。JLA法人格変更の際には、学生委員会のあり方について“学生連盟”を視野に入れ議論を深めました。結果、時期尚早との判断に至りましたが、委員会の意義を再考する貴重な時間となりました。コロナ禍では活動を止めることなく、学生やクラブの現状把握と課題収集から始めました。同時に定例会をオンラインに切り替え、不慣れながら進めることができました。学生の適応能力の高さは抜群であり、年度末にはオンラインの“学生リーダーズミーティング”の開催を成し遂げることができました。
結びとして「学生本部の未来に向けて」「任期を終えての想い」を記します。現本部長と共有している推進項目として、①学生委員会OBOGとの連携強化 ②大学スポーツ協会(UNIVAS)や高体連/中体連との関係構築 ③課外活動(部活動)実践の報告会/研究会開催と活動ガイドライン作成、があります。これらの項目は学生・生徒をサポートする側の私たちの課題です。多くのみなさんのご支援ご協力のもと実現させたいと考えています。
私が学生本部を担当した際の方針として、①教育的な視点にて学生とともに歩んでいくスタンス(学生センタード)の継続 ②ライフセービング界の次世代リーダー養成推進、を掲げ取り組みました。特に学生委員会では、ライフセービングと教育をテーマに学生と時間を共にする中で、ライフセービングの本質を一緒に考える機会を多く得ることができました。その関係性は「生命の尊厳」を中心とした人間同士の付き合いであり、本部長と学生というよりも、もっとフラットであったように感じています。委員を経験したみなさんには、培った視点や繋がりを活かし、日本や世界のライフセービング界の礎となり活躍されることを期待します。しかし、それは水着やユニホームを着て水辺で活動する行為のみに留まりません。ライフセービングの哲学をもって創造し、社会の多様なフィールドにて発揮して頂きたいと願っています。私は、その様な“人を育む”ことが、学生本部の大きな役割であり価値であると考えます。
私もみなさんと一緒に「水辺の事故ゼロ」を目指し、豊かで平和な社会つくりに、微力ながら貢献していきたいと思います。
寄稿:丸田 重夫(まるた しげお)
・所属 日本体育大学ライフセービング部(8期)
昭和第一学園高等学校ライフセービング部(2005年創設)
・始めた年、理由きっかけ
大学入学(1991年)の際、雰囲気の良いクラブと格好良い指導者・先輩に憧れて。
・業務内容
JLAインストラクター/JLA顧問