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「津波フラッグ」を通じてライフセーバーに期待すること:気象庁

2022.04.08 (Fri)

 水辺の安全を守るライフセーバーの皆様は、津波に対する避難誘導について片時も忘れることなく活動されていることでしょう。地震の強い揺れや長く続く揺れを感じた時などは、津波が発生するおそれがあります。

 気象庁では、津波による被害のおそれがある場合、大津波警報、津波警報または津波注意報(以下では、「津波警報等」といいます)を直ちに発表します。津波警報等は、テレビ、ラジオ、携帯電話(緊急速報メール)、防災行政無線(屋外スピーカー)、サイレン等、様々な手段で対象地域にいる人々に伝えられます。しかし、これらの方法は音を中心とした伝達のため、聴覚障害のある方には伝わりませんし、海の中にいる方には伝わらないかもしれません。平成23年の東日本大震災では、岩手県、宮城県及び福島県における聴覚障害のある方の死亡率は、聴覚障害のない方の2倍にのぼったとのデータがありました。聴覚障害のある方への情報伝達の問題点としては、防災行政無線(屋外スピーカー)、サイレン、広報車による呼びかけが聞こえなかった、停電によりテレビ(字幕)や携帯メール等が使えなかった、といった点が挙げられました。このため、令和元年より津波警報等の視覚による伝達手段について、(公財)日本ライフセービング協会様などの有識者も交えて検討を行いました。その結果、以下の内容が報告書にとりまとめられました。

・聴覚障害のある方や津波警報等を伝達する手段として、旗による視覚的な伝達が有効であること。

・先進的な自治体で用いられていたオレンジ色の旗や赤色の旗なども含めた複数のデザインの旗の視認性を、海水浴場において検証した結果、赤白の格子模様のデザインを用いることが望ましいこと。

 この検討を踏まえ、令和2年6月に、気象庁では、この赤白の格子模様の旗を「津波フラッグ」と呼び、津波警報等の伝達に用いることを定めました。ちなみに、赤白の格子模様は、主に船舶間の通信に用いられ、「貴船の進路に危険あり」を意味する国際信号旗である「U旗」と同様のデザインです。

 「津波フラッグ」は運用が始まったばかりのため、住民の方々の認知度を高めるとともに、一つでも多くの海水浴場に導入いただくことを目指し、気象庁では、「津波フラッグ」の周知・広報活動として、関係機関と共同でポスターやリーフレットを作成し、全国各地で掲示や配布するなどの周知・広報をしています。また、各地での講演会や防災イベント等で積極的にお知らせしています。

 今後も、リーフレットやポスターをさらに充実させて全国の海水浴場での掲示・配布、「津波フラッグ」を含めた津波防災に関する講演会の開催、防災イベントや企画展等での「津波フラッグ」の展示など、様々な取り組みを行っていく予定です。

広報用ポスター

広報用ポスター

気象科学館での展示

気象科学館での展示

 (公財)日本ライフセービング協会の皆様とは、令和2年12月に「水難事故防止・防災に関する協定」を締結し、「津波フラッグ」の広報等を連携して実施しています。その一環として、令和3年3月に映像資料「津波フラッグは避難の合図」を共同制作し、気象庁や(公財)日本ライフセービング協会のYouTubeチャンネルで公開しました。また、令和3年7月には(公財)日本ライフセービング協会と共同で、港区立みなと科学館でミニ講演会を行うなど、連携して周知・広報の取り組みを進めています。

 

協定調印式

協定調印式

動画:津波フラッグは避難の合図

 

 さらに、元ビーチバレーのオリンピック日本代表選手である朝日健太郎国土交通大臣政務官(当時)の呼びかけにより令和3年3月に、「津波フラッグ」をテーマとした意見交換会を開催しました。この会合では、朝日国土交通大臣政務官(当時)と、(公財)日本ライフセービング協会、(一社)日本デフサーフィン連盟が、聴覚障害のある方の安心・安全のための視覚による情報伝達の重要性や、「津波フラッグ」の普及に向けた方策等について意見交換をしました。意見交換会の模様は、気象庁YouTubeチャンネルでご覧いただけます。

みなと科学館での講演

みなと科学館での講演

 (公財)日本ライフセービング協会の皆様は、東日本大震災などを契機として、海水浴場における津波対策を積極的に進めてこられ、津波警報等の旗による伝達についても先進的に取り組まれておられます。ライフセーバーの皆様には、既に様々な機会に周知・広報に取り組んでいただいているところであり、感謝いたします。また、実際の津波警報等発表時には「津波フラッグ」を振って率先避難者として海水浴場利用客を安全な場所に避難させるという大任を担っていただくことになります。ライフセーバーの皆様ご自身の安全確保を第一に考えながら、津波による犠牲者を一人でも多く減らせるよう、引き続きご協力をお願いいたします。

 

 

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