「(このまま進むと危なそうだな~)」と心の中で思った直後でした。『ガシャン!』。10mほど離れた道路の向かい側で、自転車に乗った女の子が車にはねられました。女の子の鼻からは出血が見られ、自発的な動きはありません。運転手の女性は安全な場所を見つけて停車し、近くの家に駆け込んで玄関をノックしながら「救急車を呼んでください!!」と依頼(当時は携帯電話がありませんでした)。事故を起こしたことに悲壮な表情を見せながら、非常に落ち着いた行動を取っていました。
これは、私が中学1年生の時に目撃した事故現場です。部活動に参加するため自宅から学校に向かう途中でした。今でも鮮明に覚えています。この後の私の行動ですが・・・、何もせず「(このままだと遅刻するなぁ・・・)」という思いから、その場を離れ、部活に参加しました。「何もできなかった」という後悔の念のようなものは、抱きませんでした。。。
この出来事から約30年経過した現在、私は日本ライフセービング協会の職員として、またインストラクターとして、命の尊さを伝える仕事をしています。その視点で言えば、30年前の行動は恥ずべきものであり、女の子と運転手の女性に心からの謝罪をしたい気持ちです。同時に、何もできなかったリアルな自分がいたことも事実として受け止めています。
そんな自分を変えてくれたのは、間違いなく【ライフセービング】でした。大学入学時に勧誘されて何となく始めた活動でしたが、かけがえのない仲間と海の楽しさ、波に乗る爽快感を感じながら、『愛する人を守れますか?』というシンプルな問いを追求してきました。社会人になってからは、インストラクター仲間、事務局の職員一丸となってライフセービングの普及に力を注ぎ、今に至っています。
おそらく、私と同様【ライフセービング】に出会ったことで、『成長できた』『人生を救われた』という経験をされた方は多いと思います。ライフセービングによって救われる人生は間違いなくあります。少しでも多くの方にライフセービングに触れてもらいたい。そのために職員になりました。皆様からいただいたご寄付を大切に運用し、一人でも多くの人生を救い、水辺の事故を防いで参ります。日本ライフセービング協会へのご寄付を、ぜひお願いいたします。
公益財団法人 日本ライフセービング協会
事務局員/JLAインストラクター
JLAアカデミー副本部長
国際武道大学ライフセービング部OB
勝浦ライフセービングクラブ所属