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私とライフセービング

Vol.68 – 森野 郁也 / Fumiya MORINO

2025.05.09 (Fri)

ライフセービングとの出会い

幼少期、サーファーの父に連れ出され、毎週末に江ノ島の海へ遊びに行っていました。ある日、いつも通り海で遊んでいた時、カヌーやニッパーボードで楽しそうに遊ぶバディ冒険団というチームに出会い、一緒に遊ばせてもらったことがきっかけです。バディ冒険団は、小学生や中学生を中心に、山登りやロッククライミング、キャンプなど自然豊かな環境の中で仲間と共同生活しながら、アウトドアでの楽しみ方を教えてくれる団体でした。その活動の一つとして”ライフセービング”のプログラムがあり、海での活動中に出会ったのです。小学生だった私は、体を動かすことが大好きで、バディ冒険団での活動に興味を持ち入団しました。様々な自然体験をさせてもらいましたが、海での活動が一番楽しく、波乗りやビーチフラッグスなど海での遊び方を沢山教えてもらいました。

高校ライフセービング

日本体育大学でライフセービングをしたい。という想いから、日本体育大学荏原高等学校に進学します。当時、まだライフセービング部はありませんでした。大学へ向けて泳力を高めるために水泳部の入部を考え、部活動説明会に参加しました。そこで、顧問をしていた北矢宗志先生に出会います。北矢先生がライフセーバーであるという事を知り、大大大興奮。教壇の横でライフセービングについて語ったことは今でも覚えています。その日から、高校ライフセービングが始まりました。

話は進み、ライフセービングサークルを創設することになります。当初の部員は3名。初めての資格講習会も3人で受講しました。活動経験があった事から主将に任命されますが、部活動としての歴史がない中で主将のあり方に悩まされ、躓くことも多くありました。部員みんなで話し合いをし、試行錯誤する日々が続きました。活動を継続して行く中で少しずつライフセービングに興味を持ってくれる生徒が増え、3年時には30名を超える部活となりました。今年でライフセービング部は創部10周年を迎えます。部活動の創設に携わることができた日々は人生の宝物であり、歴史の一歩目を歩めたことを誇りに思っています。

大学ライフセービング

ついに、憧れを抱いていた日本体育大学大学ライフセービング部に入部します。大学生になり、初めて現場でのライフセービングを経験します。自然環境の中で常に命が危険に晒される可能性があるという緊張感の中、仲間と切磋琢磨し、乗り越えた一夏は私の人生で忘れられない大切な経験です。また、千葉県の鴨川市で活動ができたことに感謝しています。ライフセービングをしていなければ何も感じることのなかった場所が第二の故郷のような思い出の地となりました。夏がくると何故だか鴨川に行きたくなります。それだけ、仲間と過ごした日々が濃かったのだと思います。

ライフセービングスポーツでは、日本代表に選出していただき、国際大会や海外遠征の経験を積むことができました。日の丸を背負うことの偉大さや海外ライフセーバーの迫力を身をもって感じました。また、日体大のコンペティションキャップをかぶり競技会に出場することが何より楽しかったです。大学4年時最後のインカレでアベック優勝した時は部員全員で飛び跳ねました。4年間共に過ごした仲間たちは今でも大切な存在です。戻れるならもう一度体験したい。そう思える思い出の詰まった最高の4年間でした。

社会人ライフセービング

社会人となり、ライフセービングを続けるにあたり環境が大きく変わりました。大学のような活気は無くなり、ライフセービングを続けるためにトレーニングの環境を整える日々でした。仕事の関係で鴨川で監視活動ができる日も数日に減り、競技会ではリレーが組めず個人種目のみに出場。特に、プール競技会では、優勝まであと一歩のラインでした。優勝するために練習をする。そんな社会人一年目を過ごしていました。環境が変わり “楽しんでいた” ライフセービングが ”勝つため” のライフセービングに目的が変わっていたのです。それから少しずつ、何のためにライフセービングをするのだろう?そう思うようになりました。私にとってのライフセービングは何なのかそれを考えるようになり、一度ライフセービングから離れました。ちょうどその頃、転機が訪れます。転居先が母校の高校の近くであったため、北矢先生に連絡し、部活に遊びに行きました。そこには、純粋に部活動を楽しみ切磋琢磨する高校生の姿がありました。今の自分に足りないものは、純粋に楽しむこと。それを高校生たちが思い出させてくれました。

現在もライフセービングを続けられている理由は、”楽しい” それに尽きます。ライフセービングを ”ライフスタイル” にすること。これを、社会人ライフセーバーとして大切にしています。また、ご縁があり、日本体育大学荏原高等学校ライフセービング部のコーチをさせていただいております。ライフセービングスポーツは楽しいです。しかし、高みを目指す過程でライフセービングの目的を見失ってはなりません。

【誰かの為が、自分の為になる。】この気持ちを忘れずに。そして、伝えていきたいと思っています。

森野 郁也
Fumiya MORINO

日本体育大学荏原高等学校ライフセービング部 (1期)
日本体育大学ライフセービング部 (35期)
鴨川ライフセービングクラブ所属
特別支援学校教諭
日本体育大学荏原高等学校ライフセービング部アシスタントコーチ

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