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私とライフセービング

Vol.73 – 原田 あい / Ai HARADA

2025.06.13 (Fri)

トライアスロンがライフセービングへの扉の鍵を開ける

2021年5月、約20年振りにトライアスロン大会に出場した。それが、地元開催のWorld Triathlon Championship Series 横浜2021 だった。コロナ禍で、大会を最大限のサポート体制で開催へと導き、選手に安全で安心な大会を提供して下さった運営と審判員の皆様の、その熱い想いと努力に恩返しがしたくて、2023年4月、トライアスロンの審判員の資格を取得した。選手をサポートする側に回ると、その大変さと有り難みが、心底わかるようになった。

ライフセービングの審判員が始まりだった

2023年10月7日、JLA全日本ライフセービング選手権大会を観戦した。ライフセービング競技を実際に見るのは初めてだったが、トライアスロンの審判員とは違う、ライフセービング競技の審判員は、どういう仕事をするのかという部分に興味があって、審判の動きを主に見ていた。
そして、10月15日、C級審判員の資格を取得。現場で働く楽しみが出来た。同時に、知識はあっても、競技をする選手の立場に立てないと、審判員としてどうなのか?と当たり前の疑問が生じた。競技者になるには今からでは間に合わないけど、少しでもライフセービングについて学び、競技者の気持ちが分かる審判員になりたいと思った。

ライフセービングクラブとの有り難い出会い

そして、12月4日、ウォーターセーフティを、本来、「海の学校」関係者向けの講習を、ご好意で受けさせていただいた。佐久間さんと加藤インストラクターには、感謝しかない。
そして、この時のインストラクターが、葉山ライフセービングクラブの代表だった。学生だけでなく、社会人も多く活動している、私でも入れるライフセービングクラブとして勧めていただいた。この出会いがなかったら、もしかしたら、未だにライフセーバーになれていなかったかも知れない。
この後、時期的に海での講習がなかったので、認定ライフセーバーの資格である、「プールライフガード」を12月19日に取得。
そして、2024年4月、葉山ライフセービングクラブに入会した。初めて、ライフセービングクラブの一員として活動する機会が得られて、とても嬉しかった。

夢のような資格だったサーフライフセーバー

夏は、屋外プールの責任者の仕事をしていたので、ライフセーバーとして海に出ることは、ほとんどなかった。でも、仕事の後、近くの島まで皆で泳いだり、夏だけ来ている他の浜の人や学生との出会いもあって、いい思い出が出来た。
そして夏が終わる頃、9月8日、クラブ員専用の講習会で、ベーシックサーフライフセーバーを取得。このクラブで、このインストラクターで、このクラブ員の中でしか、受けたくないと思っていたので、夏前の他の講習会には申し込まなかった。この機会しかないと思って、勇気を出して申し込んだ。本当は、自分にはハードルが高く、出来る気がしなくて、こわかったにもかかわらず。
でも、4日間を終えて、最終日に全員が修了証をもらった瞬間、自分の心の中から、見える景色が変わったのを感じた。今までの人生とは違う一歩を踏み出したような感覚だった。講習会を受けたのが、あの浜、あのメンバー、あのインストラクター、そして、このライフセービングクラブだから、そんな感情を貰えた気がする。

サーフライフセーバーになった審判員として従事した50thの全日本

2024年10月14日、50th JLA 全日本ライフセービング選手権大会では、ビーチ競技の審判員を務めた。選手が、命懸けの様な頑張りをするので、とても緊張した。間近で見て、とても感動したので、審判員の私たちも、思わず会場とともに温かい拍手を送った。
ビーチ競技が終わり、サーフ競技の手伝いをした。選手の誘導などを任された。この時、選手の立場に立った声掛けなどが出来たと、自身で思った。
任務から解放され、表彰式を観ていた。選手や役員の言葉一つ一つと、会場の温かい一体感に、自然と涙が止まらなかった。昨年、初めて全日本を観た時とは視点が変わって、全く違う感覚だった。
本当は、ライフセービングには、20年以上前から憧れていた。プールの監視員をしていたこともあり、赤十字の救急法救急員や、水上安全法を持っていたし、カナダにいた頃には、ナショナルライフガードの資格も持っていた。ただ、あの頃は、海に挑戦する自信も、勇気もなかった。一歩を踏み出せたのは、クラブ代表やクラブ員など、自然と背中を押してもらえる人たちとの出会いがあったから。

トライアスロンとライフセービングの強い繋がり

多くの温かいライフセービング審判員の方々との出会い、色んな職業のライフセービングクラブメンバーとの出会い、また、トライアスロンの審判員としても、色んな浜のライフセーバーの方々との出会いがある。
障害を持つ人が参加するトライアスロンの大会では、海から陸上へ引き上げて運ぶことを、審判員が行う。そのための訓練があり、私も経験したが、なかなかの技術と体力が必要だ。
また、救助トレーニングを、ライフセーバーの方々とシーズン前に合同で実施する。
ボード、PWC、IRB から要救助者を引き継ぎ、運搬からCPR までを審判員が実施する訓練。
コミュニケーション、連携を取り、お互いに信頼出来る仕事をして、安全、安心な大会を目指す。

ライフセーバーをライフガードする大役

審判員ではなく、ライフガードとして、全日本ライフセービング・プール競技選手権大会に従事する機会があった。審判員を客観的に見ることが出来て、新たな気付きもあり、また、ライフセーバーを守るライフガードという立場は、とても光栄な仕事だった。運営も、審判員も、ライフガードも、選手も、皆、どこかで繫がっていて、温かい大会だった。

生涯続けたいことは?

トライアスリートにしても、審判員にしても、ライフセーバーにしても、大先輩は、必ずいらっしゃる。そんな方々に出会うと、ほっとする。色んな形で関わり、長く続けられるものなんだ、自分がやっていることを、年齢を理由に諦めなくても、いいんだ、と。
何かを始めたいけど、不安になる時や自信を持てない時があっても、人生で似たような目標を持つ人が自然と背中を押してくれる。一人ではないことを、心から感じさせてくれるのが、ライフセービングだと思う。

原田 あい
Ai HARADA

神奈川県ライフセービング協会 / 葉山ライフセービングクラブ所属
JLA ベーシックサーフライフセーバー / JLA プールライフガード
JLA 公認審判員 C級

赤十字救急法救急員 / 赤十字幼児安全法支援員
介護福祉士実務者研修

横浜市トライアスロン協会 理事 / JTU 公認審判員 第3種
TOEIC 795

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