Water safetyプログラムで大切なことは
先に紹介したように、Water Safetyは、「危機回避能力」を身につける実践的なプログラムとして、水辺の安全基礎を学ぶ教育プログラムです。この危機回避能力は、様々な体験や経験を通じて身につくものだと考えています。水の中では体がどのように浮くのか、水の抵抗をどのように受けるのかなどは実際に水の中に入らないと感じることができません。ライフジャケットも実際に着用して水の中に入ってみないと、どのくらいの浮力があるのか、またどのような姿勢で浮くのかはわかりません。学ぶということは知識を得るだけでなく体験することで初めて身につくものだと考えています。
ライフセーバーが最も重要視していることは「事故を未然に防ぐ」ということです。その事故防止の基本的な考え方として、特に自然環境下の活動では、時間的・空間的に変化する危険な場所を理解し、その対応を考えることができる能力が求められます。つまり、水の特性を知り、さらに水辺(海、河川、湖沼、プール、池、水路ほか)にはどのような危険があるのかを十分理解し、泳ぎの基本を学ぶことと、同時にその危険に自ら対処する方法(Swim & Survive /スイム&サバイブ)を体得していれば、いろいろな活動体験を通じて安心して多くの学びや感動を得ることができるからです。
私たち日本ライフセービング協会は、水辺における様々な活動において、危険な状況にならないように、楽しみながら安全を考えて行動するための教育を進めています。
マリンスポーツを通じて楽しみながら身につける
このWater Safetyプログラムは、様々な団体との協力関係のもと活用されています。例えば、日本水泳連盟のスポーツによる社会貢献の一つであるイベント「水泳の日」で、競泳や水球など様々な水泳を楽しむ参加体験イベントの一つに「Water Safety」をプログラムとして実施していたり、日本サーフィン連盟によるプールで行うサーフスクールの導入プログラムとして組み込まれています。
この「プール・サーフスクール」とは、初めてサーフィンを体験する小学生を対象に安全なプールで楽しく体験してもらう教室で、なかなか一人で始めるにはハードルの高いサーフィンを、温水プールで楽しみながら初めてみるというイベントです。座学と実技で構成されており、座学ではセルフレスキュー講座や、離岸流などの海の知識について学び、実技では水中で体を動かしながら水に親しむ準備運動を、ライフセーバーが指導しています。
水辺で楽しむにはまず安全をしっかりと確保する必要があります。サーフィンのみならずオープンウォータースイミングやトライアスロン、カヌー、ボートなどあらゆる水辺のスポーツを楽しむ上で、そのベースに自分で自分の身を守るためのWater Safetyが必要になります。今後もさまざまな団体と協力して、あらゆるスポーツの基礎としてのWater Safetyの導入を進めていきます。
■日本サーフィン連盟コメント 2021.3.6■
四方を海に囲まれた海洋国の日本にとって海は身近な存在で、海水浴・海洋レジャーを含め、海を訪れる機会が多くあります。しかしながら、近年においては海を訪れる方々が減少しているなど、いわゆる「海離れ」という傾向が見られ、この傾向は特に10代~20代の若者に顕著に見られています。
このため、一般社団法人 日本サーフィン連盟では、海洋レジャーのサーフィンを身近に感じていただくため、初めてサーフィンを体験する小学生を対象に、まずは安全なプールで「プール・サーフスクール」を実施しています。
東京オリンピックやパリオリンピックで実施されるサーフィンを通じて、「静水プール」から「波のあるプール」そして「海へと」一貫性をもって、サーフィンの楽しさを知っていただくとともに、水辺の安全教育、体力づくりと健康増進を図り、海の理解を深めていただくことを目的としています。
若者をはじめ、中高年からも始めることができるサーフィンを体験していただき、波という自然を相手とするスポーツの楽しさを一人でも多くの方々へ知っていただくことや、誰もが海と親しんでいただける環境が形成されることを期待しています。
また、この事業は日本ライフセービング協会の協力を得て、「Water Safety」としての水辺や海での安全に関する講義も同時に開催しており、サーフィンを安全に楽しむための知識の習得を目指しています。
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皆さまからのご寄付はWater Safety教育の普及事業などに活用します