ライフセービングとの出会い
大学時代、救急救命士を育成する学部で学びながら保健体育の教職課程も履修していた私は、救急救命士として消防官を目指すか保健体育の教員になるか、2つの夢の間で大いに葛藤していました。最終的に教員の道を選んだのは、次世代を担う高校生にBLSを通じた「命の教育」を実践したかったからです。救急救命士の資格を持った保健体育教員だからこそできる教育によって、一つでも多くの命を救うことに貢献したい。その強い想いが、決断の決め手となりました。
大学卒業後、都内の私立高校で2年間非常勤講師を務め、社会人3年目に現在の職場である昭和第一学園高等学校に保健体育科教諭として赴任しました。そこで本校ライフセービング部の顧問を務めていた丸田重夫先生との出会いが、私とライフセービングの出会いでもありました。
そして、“この出会い”をきっかけに、私の人生は「命の教育」の体現へと大きく動き出します。
ライフセービングと「命の教育」の実践
「ライフセービング」と聞くと、夏の海での監視活動をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、本校の活動はそれだけにとどまりません。
日頃の学校練習では、陸上部さながらのランメニューに加え、筋力トレーニングやウエイトトレーニングにも励んでいます。本校にはプールがないため、近隣の施設へ足を運ぶことも多く、決して恵まれた環境とは言えません。それでも、ひたむきに努力を重ねればライフセーバーとして大きく成長できるということを、生徒たちの姿から日々実感しています。
また、応急手当やBLSの技術向上にも力を入れており、部員全員がBLS資格を取得しているほか、ウォーターセーフティやベーシック・サーフライフセーバー、リーダーなど様々な資格取得にも挑戦しています。
さらに生徒たちは、インプットした知識を地域社会へアウトプットする活動も大切にしています。近隣の小学校での水泳授業補助やウォーターセーフティのデモンストレーション、高校生自らが企画・運営するBLS講習会などを主体的に実践してきました。
こうした地道な日々の積み重ねが、生徒たちとって、より大きなチャンスを呼び込むことになります。
「命の教育」を通じての国際交流
この「命の教育」を大きく飛躍させるきっかけとなったのが、ライフセービングを通じた国際交流です。
大学時代の恩師とのご縁からシンガポールを訪れ、生徒たちが現地の高校生にBLSを教える機会をいただきました。さらに、ライフセービングを通じて学んだことを英語でスピーチしたほか、現地のライフセービングクラブとの交流や合同練習も行うなど、大変有意義な時間を過ごすことができました。このグローバルな経験は、高校生にとって何ものにも代えがたい財産となったに違いありません。
また昨年度は、オーストラリアのゴールドコースト遠征が実現し、現地のニッパーズへの教育活動をはじめ、本場の救命技術や大自然の海を体感するなど、新たな国際交流の発展へとつながりました。
生徒たちが主体的にライフセービング活動に励むことは、「命の教育」はもちろん、彼ら自身の「心の教育」にも深くつながっていると確信しています。高校3年間で心身ともにたくましく成長していく生徒たちの姿は、本当に頼もしい限りです。
ライフセービングを通じての”経験と挑戦”
生徒たちの輝かしい姿を見ていると、「私も高校生の頃からライフセービングに出会いたかったな」と羨ましく感じることがあります。そんな中、私が30歳の時に当時の生徒たちと共に受講した「ベーシック・サーフライフセーバー」の資格講習会は、一生忘れられない原点です。
その後、「BLSを通じてライフセービングの普及に貢献したい」という強い思いから、BLSインストラクターの資格を取得。さらには、日本ライフセービング協会のBLS委員会に委員として携わる機会をいただき、BLSアセスメントをはじめとする貴重な経験を積むことができました。これら一連の歩みは、今の私を支える大きな糧となっています。
現在は部活動の指導のみならず、本校の「探究授業」の一環として、医療分野の進路を目指す高校3年生を対象としたBLS講習会を実施し、授業を通じた「命の教育」にも注力しています。
ライフセービングが繋ぐ「縁」と感謝”
私は自分の“ライフワーク”としてライフセービングに携われていることに、大きな幸せを感じています。丸田先生との出会いによってライフセービングとめぐり逢い、多くのライフセービング部の生徒たちにも恵まれ、私の人生はこれほどまでに充実したものになりました。丸田先生には感謝の言葉しかありません。生徒や仲間、友人など、ライフセービングを通じて出会えたすべての人との「縁」が私の人生の財産です。
そして、私の人生を支え続けてくださっている国士舘大学の田中秀治先生にも、言葉では言い尽くせないほど感謝の念があります。田中先生には、私が「命の教育」を推進していく上での確固たる礎を築いていただき、常に温かいご指導を賜りました。さらに、本校ライフセービング部の活動が世界へと広がる転機となったシンガポールでのBLS教育へのきっかけをいただいたのも田中先生です。大学卒業後も、先生につないでいただいた数々の素晴らしいご縁と、踏み出させてくださった一歩があったからこそ、現在の私が存在していると強く実感しています。
これらの活動は、多くの方々のご理解とご協力がなければ成り立ちません。職場の教職員の皆様の温かいご配慮や、周囲でサポートしてくださるたくさんの方々のおかげで、日々の活動に励むことができています。今後もめぐり逢えたすべてのご縁を大切にし、感謝の気持ちを忘れることなく、生徒たちと共に様々な挑戦を続けていきたいと考えています。
ライフセービングの普及を通じて、一つでも多くの命を救うことに貢献できるよう、これからも日々邁進していきます。
昭和第一学園高等学校ライフセービング部 顧問教諭
JLAインストラクター(B














