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私とライフセービング

Vol.94 – 弓削 匠 / Takumi YUGE

2026.07.24 (Fri)

私とライフセービング

ライフセービングとの出会い

どんなことを学びたい、どんな職業に就きたいという、明確なビジョンがなかった高校3年生の私は、スポーツが好きだからという理由だけで順天堂大学に入学しました。小学校5年生まで水泳を習い、高校卒業までサッカーを続けていましたが、大学では心機一転新しいことにチャレンジしたいと思っていました。そんな中、同じ学生寮に住む仲間3人とライフセービング部の体験会で波に乗せてもらったのがライフセービングとの初めての出会いでした。先輩の誉め言葉にまんまとのせられた私は入部を決めたのでした。人を助けたい、社会のためになることをしたいといった気持ちは当初はなかったと思います。ただ、海が楽しかった。その気持ちは今でも覚えています。

人生を変えた

ライフセーバーになる初めの一歩として受講したBASIC講習会は楽しいながらも人を助けることの難しさを学んだ日々でした。そんな中、私の恩師が伝えた一言が私の人生を変えました。「あなたは愛する人を守ることができますか」。全身に衝撃が走り、心が震えました。何もできないと分かっていたからこそ無力な自分に悔しさがこみ上げてきました。「あなたにできること、あなたにしかできないこと、それに全力を尽くす」。私にとってできることとは何なのか、私にしかできないことは何なのか、そして愛する人のために私は今全力を尽くしているのか、当時私には愛する人を守る力を有してはいませんでした。

「愛する人を守る」とは

BASIC講習会を通して、私はライフセービングと本気で向き合うことを決意しました。週5で部活動に取り組み、休みの日は仲間と海に行ったり、川で練習をしたり、真冬に凍った川で練習したのも今ではいい思い出です。2年生になってADVANCEの資格を取得し、知識と技術をもう一段階上に引き上げました。4年生になって指導員の資格を取得して、伝えていくことの大切さを学びました。大学4年間を全力駆け抜け、「愛する人を守ることができますか」という問いに対して、私はついに、胸を張って「はい」と答えられるだけの自信と覚悟を手に入れました。それは単に、水辺の事故から人を救い出すための物理的な強さや技術を身につけたというだけではありません。本当の意味で「愛する人を守る」とは、目の前の危険から直接救助することに加えて、未然に事故を防ぐための知識を広め、同じように命を尊ぶ仲間を育てていくことなのだと、指導員としての経験が私に教えてくれたからです。

最後に

明確なビジョンもなく、ただ「海が楽しい」という理由だけで飛び込んだ世界でしたが、ライフセービングはいつしか私の人生の確固たる指針となっていました。「あなたにできること、あなたにしかできないこと、それに全力を尽くす」。あの日、無力だった私を奮い立たせてくれた恩師の言葉は、今も私の心の中で熱く生き続けています。これから先、どのような道を歩むとしても、この探求が終わることはありません。自分が愛する人たちを、そして「誰かにとっての愛する人」を守り抜くために。私はこれからも自分にしかできないことに全力を尽くし、命と向き合うことの尊さ、そしてライフセービングという素晴らしい活動のタスキを、より多くの人へ、次の世代へと繋いでいきたいと思っています。

弓削 匠
Takumi YUGE

九十九里ライフセービングクラブ所属
順天堂大学ライフセービングクラブ卒業
順天堂大学ライフセービングクラブOBOG会・会長

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